MLM ( マルチ商法 )はなぜ 規制 されないのか?法律と社会的な視点から考察

マルチ商法(MLM)は、仕組みや収益構造に賛否が分かれるビジネスモデルです。世間では「規制すべきだ」という声が根強い一方、現行法の下で活動が続けられています。本記事では、MLMが規制されない理由を法律的・社会的な観点から掘り下げ、同時に業界の変化や可能性についても考察します。

法律的にMLMは規制可能なのか?

MLMの全面規制が技術的に可能かどうかについて、以下の3つの視点から見てみましょう。

① 法律改正で全面禁止する

現行の特定商取引法では、MLMそのものは違法ではありません。しかし、法律を改正して「連鎖的な販売取引」を禁止すれば、理論上は根絶が可能です。
例えば、「ネズミ講」が無限連鎖講防止法によって違法とされているように、MLMも同様の仕組みで規制することは可能です。

② 規制を強化して抑止効果を高める

現在の特定商取引法では以下の規制が設けられています:
• 勧誘時の情報開示義務
• 虚偽説明の禁止

これらの規制をさらに厳しくし、違反時の罰則を強化することで、MLMの抑止効果を狙えます。

③ 登録制や許認可制の導入

MLMを運営する企業に厳しい条件付きの登録制や許認可制を導入すれば、適法な企業のみが残る形にすることが可能です。この方法は規制を強化する中でも現実的なアプローチと言えるでしょう。

なぜMLMは規制されないのか?

MLMが現在も規制されていない理由には、以下のような経済的・社会的な背景が存在します。

① 経済的な影響を懸念

MLM業界は日本国内でも年間5,000億円~1兆円とされる市場規模を持ち、次のような経済的影響を与えています:
• 雇用機会の提供:
MLMは収入源を必要とする個人事業主にとって、重要な職業の1つです。全面規制により多くの人が職を失うリスクがあります。
• 税収への影響:
MLM企業や販売員が納める税金が減少することは、地方自治体や国の財政に影響を及ぼします。
• 中小企業のモデルへの打撃:
合法的にMLM型のビジネスモデルを採用している企業にも影響が及び、産業全体の混乱を招く可能性があります。

② 自由経済と自己責任の理念

日本は自由な経済活動を原則として認めています。MLMは合法的な仕組みの範囲内であれば、自由経済の一環として存在を許容すべきだという考え方があります。また、参加者の判断は自己責任と見なされるケースが多いです。

③ 合法的な紹介プログラムとの線引きの難しさ

Amazonやメルカリなどの紹介プログラムは、MLMの一部の仕組みと類似しています。このような合法的なビジネスモデルとMLMを明確に線引きすることが難しく、規制の曖昧さにつながっています。

規制すれば何が起こるのか?

MLMを全面禁止にした場合には、以下の課題が考えられます:

① 不正取引の地下化

MLMが合法的に運営できなくなると、地下化して違法取引が増える可能性があります。過去には「ネズミ講」の禁止後も密かに活動が続けられた事例があります。

② 自由経済の制限

MLMの禁止は、自由経済やビジネスの多様性を損なうリスクがあります。禁止措置が行き過ぎると、他の合法的なマーケティングモデルにも影響を与える可能性があります。

③ 業界の質が向上する可能性

一方で、規制が強化されることで、不適切な運営を行う企業が淘汰され、業界全体の質が向上する可能性もあります。

社会的なポジティブな側面

MLMには批判が多い一方で、次のような社会的意義があることも見逃せません。

① 副業機会の提供

MLMは、特に副業やお小遣い稼ぎを求める人々にとって手軽な収入源を提供しています。
ただし、ブラック案件も多いため、慎重な判断が求められます。

② 自己成長やスキルアップ

MLMでは、販売スキルや自己啓発ノウハウを学ぶ機会があります。これらのスキルは他の職場でも応用できる可能性があり、個人の成長を促す側面があります。

③ 地域社会や人間関係のつながり

社会的孤立を防ぎ、参加者にコミュニティを提供する役割も担っています。特に、ニッチな商品を扱う点では大手企業がカバーできない市場に貢献しています。

優秀な人材の参入と格差の広がり

近年、MLM業界では優秀な人材の参入が増えています。
これにより、業界内で次のような変化が起きています:
• 優秀な人材がリーダー層を占める:
営業力や管理能力を持つ人材が活躍する一方、未経験者との格差が広がる傾向があります。
• コミュニティとしての役割強化:
所属の欲求を満たす場としての価値が高まる一方で、囲い込みや搾取の構造を批判する声もあります。

似た事例を紹介すると、ヤクザですかね。

社会にあぶれた人種の受け皿という側面を持っていたヤクザ。しかし、求めてられているのは特定のスキルを持っている人間や、高学歴。

ヤクザとの大きな違いでいうと、MLMの場合はコミュニティの側面が強いということであるかなと考えています。悪く言えば囲い込みではありますね。要するに能力が低くても、社会からあぶれた人種の受け皿としての機能は果たせそうではありますね

結論

MLMは、法律的には規制可能なビジネスモデルでありながら、その経済的影響や自由経済の理念、社会的意義を考慮して現在も存在を許されています。
規制の強化が必要な一方で、MLM業界が持つポジティブな側面や、コミュニティ形成の役割をうまく活かしつつ、業界全体の透明性を高める取り組みが求められます。

読者の皆さんは、MLMを規制すべきだと思いますか?それとも、現行の法律で十分でしょうか?ぜひコメントで意見をお聞かせください!

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